ロンドン書店めぐり [海外]
2024年2月12日の日記
なんとか5年ぶりにロンドンを再訪してきました。さすがにコロナのせいで,まったく海外にも行けず,またiruchanは国際関係の仕事をしているんですが,これもコロナのせいでオンラインの国際会議ばかり,でした。
おまけにiruchanはもはや親会社にいなくて別の職場なのですが,コロナ後,再開した国際会議には出られず,親会社の人間が行く,と言うことになると「お前は行かなくていい。」なんて次第で,頭にきていました。
と言う次第ですが,ようやくロンドンに行くことができました。
いろいろ,ストーンヘンジや科学博物館やラジオの送信所など,一通り,行きたいところを回ってきました。科学博物館は20年ぶりですが,ラジオの送信機が新たに展示されるようになったし,またニューコメンの蒸気機関もまた見てみたいので,行ってきました。
詳しくはこちらへ。
さて,今日は本屋さんめぐりをしてみたい,と思います。
☆FOYLES
老舗の大きな本屋さんです。
ここはロンドン市内に何軒かある店の本店です。ロンドンでは有名な大型書店で,iruchanも最初にロンドンに行ったとき,すぐに行きました。
今も健在で,多くの本好きで賑わっていました。
ソーホーにありますが,地下鉄のトッテナム・コート・ロードの駅が近いです。チャリングクロス通りに面していて,コヴェント・ガーデンやナショナル・ギャラリーからも近いです。
夏目漱石がチャリングクロス通りの古本屋めぐりをしていたことが日記に書かれていますが,FOYLESは漱石が帰国した翌年(1903年)に開店しているので,漱石は来ていないでしょう。
なお,英国に限らず,どこも欧米の書店と言うのはちょっと日本の本屋さんと違い,雑誌はあまり置いていません。FOYLESは,全くない,と言っていいでしょう。あくまでもBookshopというのは単行本やペーパーバックなどを置いている店,というわけです。
店内は6Fまでありますが,互い違いにフロアーが広がっていて,各階は分野ごとの専門書店,という感じです。最上階に上品なカフェがあるのが驚きで,ここでゆっくり本が読めますし,日によってはジャズの生演奏が聴けるそうですが,iruchanが行ったときはそういう日じゃなかったようです。
HistoryやHobby,Scienceといった具合にフロアが分かれていて,ものすごい数の専門書に圧倒されます。
驚いたのは1Fの奥にMangaというコーナーがあることで,やはり欧米でも日本のマンガはとても人気なんですね~。
ワシントンでもどこでも,欧米の本屋さんには必ずMangaのコーナーがありますが,ここも大変充実しているし,なにより1Fの一番,店としては "売り" のコーナーにあるのは日本人としてもうれしいです。1Fの1/8位は占めているんじゃないでしょうか。
おまけにJosei Mangaなど,日本マンガ特有の単語の解説が店員さんの手書きポップで書かれていました。
☆Skoob Books
なんか,とてもきれいな古本屋さん。店はB1Fです。
ここは古本屋さんです。以前,ワシントンでも古本屋さんめぐりをしましたけど,ロンドンでも何軒か回って見ました。
やはり,どこの古本屋さんもHistoryのカテゴリが充実していて,英国人の歴史好きはよくわかります。
中国人らしい,若い女性が店主とたどたどしい英語で話をしていました。「私は本が好きで,読めないけれど,このお店に来て感激している。」なんてしゃべっていました。そうですよね。本の好きな人ならたとえ読めなくても,本屋さんに入ってみたいですよね。
iruchanも20年前はこんなものでした。英語もロクにしゃべれず,本なんて読むこともできませんでしたけど....。
今は海外に行ったら,最後に空港の本屋さんを覗くのが楽しみです。
☆ ☆ ☆
何軒か,ロンドンの書店と古書店を回ってきました。
感づいたのはどこも人で賑わっている,ということ。また,ほかにもたくさん市内に本屋さんがあり,どこも閉店している,という感じではありません。
書店がどんどん消えている,というのはどうも日本だけの現象らしく,新聞でも読みましたが,ネット書店の影響はあまり海外では大きくないそうで,日本もネット書店の影響は同じでしょうから,日本の書店が消えているのは別の理由があるようです。
日本の書店が減っているのは,店主の高齢化と後継者難が原因と言われますが,それは全職種で同じはずですから,そればかりではなさそうです。
原因は書店の収入の大部分を占めている,雑誌が売れない,ということに尽きるのではないか,と思います。
今の雑誌の低レベルなことはiruchanも呆れています。
正直,ネットに出ているような中身ばかりで,これだったらわざわざお金を出して買わなくても,という雑誌ばかりなのが問題,と思います。
雑誌が売れないので,どんどん雑誌を作り,その分,1冊ごとに投資すべきコストが減り,低レベルな,写真ばかりの内容のない雑誌がどんどん増え,それじゃ,つまらないので読者が減り,雑誌の発売部数が減るので,利益をあげようと,さらに新しく雑誌を作る,という悪循環に陥っているのではないでしょうか。
iruchanの大好きな鉄道だって,今,いったい何誌あるのでしょう。
老舗3誌(ピク,ファン,ジャーナル)だけで十分じゃあ,ないでしょうか。
これら老舗3誌以外はインターネットを見れば十分,と言う内容で,写真ばかりだし,その写真にしたって,インターネットにはアマチュアが撮影した,雑誌には出ていないような貴重な写真もあって,むしろこのような雑誌を買うより,インターネットで十分であるばかりか,むしろ,インターネットの方がよい,という内容なんじゃないでしょうか。
昔は毎月,21日の鉄道雑誌の発売日には本屋さんの鉄道雑誌のコーナーは人だかりがしていて,とても立ち読みなんてできない状況でしたが,今は閑散としていて,余裕で立ち読みができます。
鉄道雑誌って,雑誌の中でも一,二を争う人気分野でしたけど,今はこんな状況です。
これが今の日本の出版界の問題なのじゃないでしょうか。
それに,取次制度のせいで,書店は必要な本や雑誌を自由に置くことができません。売れない雑誌をヤマと送ってきて,それを並べるのも人手が足りないし,場所も足りないのに,全然そういう雑誌は売れない,という状況なんじゃないでしょうか。
FOYLESは新刊書店ですが,雑誌は扱わず,専門誌を読者にわかりやすく並べて読者を引きつけています。
日本の本屋さんや出版業界はこういう商売をすべきではないでしょうか。
読者はインターネットを使って検索しても本好きの人は実際に手に取って,中を見てみたい,と思うものですし,こういったFOYLESのような大きな本屋さんがあれば,インターネットで検索できる以外の本が見られるかもしれないし,仮に見つけたとしても中身が見られないんじゃ,困るのでこういう本屋さんに来て,実際に中を見て,買うんじゃないでしょうか。
それに,FOYLESは大きいし,最上階にカフェもあるので,本好きな人なら1日過ごせそうです。こういう雰囲気のお店が日本にあるでしょうか。
久しぶりにFOYLESなどの本屋さんを見て,逆に日本の深刻な状況がよくわかりました。
2024-03-11 17:13
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