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カール・セーガン "コンタクト" [文庫]

2012年9月9日の日記

今ごろになってカール・セーガンの ”コンタクト” を読みました。著者も亡くなりましたし,すでに絶版になってしまっています。

しかし,中学の頃,TV朝日で "コスモス" という科学番組をやっていて,本も読んだし,懐かしい思い出です。彼は天文学者の立場から,貴重な地球を救おうと反原爆を唱えていました。iruchanが尊敬する科学者の一人です。そんな番組を作ったカール・セーガンの小説を読んでみようと思いました。

といって,実は渚にて同様,映画の方が先で,映画を見てから原作を読んでいます。やっぱり,ちょっとどこか原作と違っていたりするので,原作はどうなんだろ,と思ったのが発端です。

残念ながら絶版なので,Book Offで安くゲットできました。まだこの頃はそうでもなかったですが,最近は海外小説は人気がなく,初版だけ刷っておしまい,と言う状況は困りますね。

ヴェガ星系から謎の素数のパルス信号が届く,と言うことから小説は始まっています。映画ではジョディ・フォスターがやっていた女天文学者が信号をとらえます。その信号に含まれていた映像を再生するとドイツで始まったばかりのTV放送が中継したヒトラーのベルリンオリンピック開会演説だった,というのは驚きますね。実際には英国のBBCの方がTV放送は早かったのですが,小説としてはこちらの方が面白いでしょう。

さらに,その信号を解析するとなにやら機械の図面が現れて,おそらくはヴェガへの宇宙船の図面だろうと....。その宇宙船に女主人公が乗り込んでヴェガに行き,そこで出会った者とは.....。

ブラックホールやワームホールと言った最新の天文知識を盛り込んだ科学小説はとても面白いですし,家族の絆や世界平和,宇宙を支配する全能の神の存在なんてことまで盛り込んであり,なかなか読ませます。全能の神の存在なんてのはどうにもアーサー・C・クラークの "2001年" や "幼年期の始まり" などの小説のテーマみたいですけどね。

渚にて同様,やはり映画といろいろ相違点があります。そもそも原作ではヴェガに行くのは5人の全世界から来た科学者たちですが,映画は女主人公ただ1人です。こちらの方が印象深いですね。それに,原作ではしょうもないどんでん返しが最後に1個ありますが,映画は省いてしまっています。こんなどんでん返しならない方がよい,と言う演出家の判断は正しいと思います。素直に映画の方が感動しますからね。

日本がよく出てくるのもよく知られています。そもそも宇宙船を建造し,発進するのは北海道になっています。カール・セーガンは知日家としても知られていましたが,彼の知識はなかなかのものです。青函トンネルの記述もありますし,七夕や日本料理の描写も正確です。

その割に,映画に出てくる宇宙船の日本人技術者の姿はいけませんね~~。一様に忍者みたいな黒装束で変な帽子をかぶり,ひと言も声を出さず,黙ってお辞儀してるだけって,カール・セーガンが生きていて監修していればこんなことはなかったと思いますけど。まあ,眼鏡をかけてチビで出っ歯でおしゃべりな技術者が登場するよりはマシだったかもしれませんけど。また,バブルの絶頂期だったから日本が登場するけど,今だったら白装束でキムチ食べる細目の技術者が登場するんでしょうね....。

でも,小説はとてもよくできているし素直に感動できます。上下2冊に分かれていて結構なボリュームですが,一気に読めます。読んでおくべき本だと思いました。

 


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ああああ

しょうもないどんでん返しというのは
母親からの手紙の事でしょうか?
しょうもないどんでん返しなどではなく、
この小説で一番重要なシーンだと思いますけどね。
あのシーンの意味を理解できないとは。
映画で省いているのは設定が違うからです。
映画はびっくりするくらいおもしろくなかったです。
小説の上-下巻を読んで最後の最後、
あのシーンの重要さが理解できないとは本当にびっくりしました。
by ああああ (2014-10-30 09:16) 

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