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佐々木譲著 "偽装同盟"

2022年6月10日の日記

偽装同盟s.png

佐々木譲の "偽装同盟” を読みました。前回,"抵抗都市" を読みました。 

日本は日露戦争に負け,形ばかりの対等な二帝同盟なる同盟関係を構築していますが,軍事,外交権がなく,ロシアの属国と化しています。

今回の時代は1917年2月。

もう,これだけでも,ちょっと世界史に詳しい人なら,そう,ロシア2月革命の年だ,と言うことに気がつきますし,この時代設定からも,結末が冒頭から大体,わかってしまいますね。

と言う次第で,前作より大幅にスケールダウン,というのが第一印象。実際,事件と言っても,メインは静岡から出てきた,地方出身の一女性の殺人事件から始まり,ロシア軍人相手の娼婦の殺害事件か,と言うのを匂わせるくらいで,結局は最後までこの事件の解決が主題です。

要するに,歴史改変小説のストーリーを完結させて正常な歴史へ戻すための道筋を描くべく,前作の続編という意味合いが濃く,アナと雪の女王Ⅱみたいなものか.....と。

としてもかなりスケールダウンは否めないし,前作の面白さにくらべれば,全然という感じです。

歴史の改変度合い? としても今回は大幅にスケールダウンで,ロシア2月革命に乗じて日本で反乱が起きる.....なんてことはないし,そういう予想すらもできないようなエンディングで,ちょっとがっかり,でした。

それに,そもそも表紙にしたって,前作は万世橋駅が表紙で,それはそれで,あまり目にする機会もありませんし,なにより軍神広瀬中佐の銅像が建っていたことで知られていますから,本の中身がどんなのものか予想できて,なかなか意図的で象徴的な表紙でしたけど,今回は見慣れた東京駅。それに,そもそも万世橋駅の絵自体,珍しく,結構,おっ,と思うような表紙だったのに,東京駅では意味不明......。ロシア統監府になっているという,法務省あたりの建物でよかったのでは。

まあ,東京駅の貴賓入り口が表紙になっているだけ,ちょっと珍しいのかもしれませんけど,あまりにも平凡でありきたり。表紙も工夫が足りない印象です。

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