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デイヴィッド ボダニス著 "電気革命" [海外]

2016年8月1日の日記

先日,本屋さんの棚の平積みで見つけました。iruchanは文庫本大好きなので平積みになっている本は必ずチェックしています。

もとはiruchanは電気系の技術者なので,こういった電気の歴史の本はよく読みます。もっとも,本当なら英語の勉強もしたいのでペーパーバックで読むのですが,この本のペーパーバックはAmazonでも1,519円もします。文庫本だと767円です。あまりこういうことはなくて,大体,ペーパーバックの方が邦訳より安いのですが,これなら訳本を買った方がよさそうだと思いました。

ヘンリーやモールス,エジソン,ファラデーやチューリングたちが登場します。そもそも,エジソンやファラデーなら何をした人かよくわかりますけど,ヘンリーって何をした人? というのが私の疑問です。 米国で巨大なコイルを使って電磁力の実験をしていたんですね。理科の教科書でもならう単位の人ですが,いまいち,彼の業績はよくわかりませんね。

モールスもモールス通信くらいしか思い浮かびませんし,実際,彼の業績はこのひとつに絞られるんですが,普遍的な偉大な技術を確立したと言っていいでしょう。偉大な業績というものの本質は時にはきわめて単純なものであることがあります。

ベルの物語も感動的で,よく知ってはいたのですが,彼の博愛精神や聴覚障害者への貢献はとても偉大です。

天才チューリングの悲劇はいろんな本に出ているので今さら言うまでもないでしょう。

エジソンとテスラの争いはちょっと物足りなく,この辺,もっと詳しく書いてほしかったと思います。おまけに彼らはそれこそ相手を殺人者呼ばわりするところまで行くのに,意外に晩年は似たようなもので,心霊に凝り,霊界との通信をしようとした,と言う話は出てきません。実は,電気の研究者って,日本の大学の先生でも心霊現象にはまってしまう人が多いのにはびっくりしますけどね.....。 

と言う次第で,結構面白く,一気に読めてしまいました。

ただ,訳は硬く,ものすごく読みにくいです。小説の訳者だとこんなことなくて読みやすいんですけどね....。こういう技術系の本の訳者は翻訳専業という人じゃなくてどこかの大学の先生だったりするんでしかたないですけどね。だからiruchanはペーパーバックを読むことにしています。

おまけにこの本はもとの原文自体が面白おかしくドラマを演出するかのように誇張した表現が多く,その点,ちょっと閉口します。ペンが行き過ぎて誇張や誤謬も多い感じです。

タイタニック号遭難のとき,アマチュア無線家が大活躍したのですが,後にRCAの総帥となるロシア移民のデビッド・サーノフがその中心だった,と言う風に書いているのは誤りです。彼はone of themであっただけで,そのように言い伝えられているのはRCAがそんな風に宣伝したからです。

また,大西洋横断ケーブルの物語も面白いのですが,ケーブルの絶縁材はゴムじゃなく,グッタペルカです。また,英ヴィクトリア女王と米ブキャナン大統領とのやりとりも,彼は数日かかって無事にできた,と言う風に書いているんですが,ほとんどできなかったのではないかと....。

何かほかにもたくさんありそうで,少し眉につばを塗ってから読む必要がありそうです。

電気革命.jpg  


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